弁理士は知的財産権を扱う国家資格です。
従来、多くの弁理士は特許事務所に勤務するか、独立して特許事務所を開業するというキャリアパスが主流でした。
しかし近年では、企業の知的財産部などに所属する、いわゆる企業内弁理士となる方が増えています。
この記事では、企業内弁理士となるための転職戦略について解説します。
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Contents
企業内弁理士になるメリットは?
企業内弁理士は、企業の知的財産部や法務部に所属し、企業側の立場として仕事をします。
企業の知的財産部門の業務としては、
- 発明発掘
- 特許出願・権利化
- 知的財産に関する契約の締結
- 侵害警告、訴訟対応
- 意匠・商標の出願・権利化
等が挙げられます。
基本的には、企業内弁理士も、弁理士資格を持たない他の知財担当者と同様に上記のような業務を行うことになります。
ただし、弁理士資格を持っていることで法律に秀でていますので、特許訴訟や共同開発の権利処理など、法律の解釈が必要となるより高度な業務を任される傾向があります。
では、企業内弁理士として働くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
大きく3つほど挙げられます。
- 特許事務所に比べて安定性が高い
- 業務の幅が広くやりがいがある
- 企業知財の経験がキャリア上プラスになる
特許事務所に比べて安定性が高い
まず、企業内弁理士として働くメリットとして、特許事務所に比べて安定性が高いことが挙げられます。
基本的に、特許事務所は規模が小さく、企業の下請け的な側面があります。
そのため、不況等でクライアントが依頼件数を減らすと、経営が成り立たなくなり、給与の大幅ダウンや解雇といったリスクが出てきます。
一方で、知財部門があるような企業は、基本的に大企業と言われるような安定した会社が多いです。
もちろん、そういった企業でも将来的に業績ダウンやリストラといった可能性が無いわけではありません。
しかし、会社規模が大きい分、特許事務所よりも相対的に安全であると言えます。
業務の幅が広くやりがいがある
企業知財の仕事は業務の幅が広くやりがいを見出しやすい、というのも企業内弁理士になるメリットの1つです。
特許事務所では、出願明細書の作成や拒絶理由通知の応答書面の作成が業務の9割以上を占めます。
基本的に、黙々と書面作成を行うことになります。
一方で、企業知財の仕事は、発明の上流で技術者と議論をしたり、ライセンスや訴訟などで交渉に立つなど、様々な業務があります。
弁理士として表舞台で活躍できる余地が大きいと言え、仕事のやりがいを感じやすいと言えます。
企業知財の経験がキャリア上プラスになる
企業の知財部門で働いた経験は、その後のキャリアで非常にプラスになります。
企業の知財部門の出身者は、転職市場で非常に評価されます。
企業の採用においては、企業知財の経験がある候補者を優遇します。
これは、企業経歴が無い候補者よりも、企業知財の出身者の方が、自社の知財部門においても親和性が高いだろうと判断されるためです。
また、特許事務所の採用においても、クライアントである企業のニーズがよくわかる企業知財の出身者は高く評価されます。
また、独立する場合にも、企業内弁理士時代に築いた人脈が大いに役立ちます。
このように、企業知財の経験がその後のキャリアで非常に活かせる点が、企業内弁理士になる大きなメリットであると言えます。
弁理士が企業知財部に転職するためのポイント
以上のように、弁理士として企業の知財部門で働くことは、特許事務所には無いメリットを享受できます。
では、特許事務所の弁理士(もしくは特許技術者)が企業知財部への転職に成功するためには、どういった点に留意すれば良いのでしょうか?
ポイントとしては下記が挙げられます。
転職成功のポイント
- 企業知財の仕事に活かせるスキルをうまくアピールする
- コミュニケーション能力を身につける
- 企業知財の転職に強いエージェントを使う
企業知財の仕事に活かせるスキルをうまくアピールする
上記のように、企業知財部の採用においては、企業知財の経験者が優遇される傾向にあります。
しかし、自身の経歴をうまくアピールすることで、企業知財の経験が無い候補者であっても、採用される可能性を高めることができます。
例えば、企業知財部においては、開発者から発明をヒアリングして、特許出願ができるように整理するという、発明発掘業務があります。
特許事務所においても、発明発掘に関係しそうな経験があればアピールになります。
例えば、明細書の作成において、「発明者から丁寧にヒアリングを行って、どういった発明なのかを明確にしていった」という経験は、評価される可能性があります。
やはり、企業においては、発明発掘のような社内でのコミュニケーションが必要な業務が多いので、こういった経験・スキルが知財部の採用において評価されます。
また、明細書作成においても、企業側の目線で内容を吟味したという経験は重要です。
例えば、
- その会社の製品がカバーでき、且つ汎用性の高いクレーム案を提案した
- ビジネスの形態を鑑みて、適切なクレームカテゴリを設定した
- 競合他社の動向を踏まえて、変形例を提案した
といった経験はアピール材料になるでしょう。
コミュニケーション能力を身につける
企業においては、部門内外の様々な人とコミュニケーションを取る必要があります。
これは、企業内弁理士においても例外ではありません。
そのため、企業の採用においては、候補者のコミュニケーション能力(社内でうまくやっていけそうか)が見られます。
特許事務所で、あまりクライアントとコミュニケーションを取らず、黙々と明細書を書いていた方は要注意です。
日頃から意識して、クライアントや外部とコミュニケーションする機会を作るようにしましょう。
なお、もし、特許事務所以前に、一般企業での勤務経験(例えば、弁理士になる前に一般企業の開発部にいた等)があれば、アピールしておくと良いでしょう。
企業では、上司の承認を得たり、関連部署と調整をしたり、稟議を上げたり、といった企業ならではの働き方があり、これは知財部門でも例外ではありません。
こうした企業の働き方を身に付けている候補者は、企業側に安心して採用できるという印象を与えることができます。
企業知財の転職に強いエージェントを使う
企業知財部への転職は、弁理士や企業知財部への転職の支援実績が豊富なエージェントを利用することをおすすめします。
知財部門に限らず、企業のやはり大手転職エージェントが強い傾向にあります。
そのため、まず登録しておきたいのが、業界最大手であるリクルートエージェントです。
リクルートエージェントは、ほとんどの業界の様々な求人を網羅しており、企業知財の求人も豊富にあります。
また、担当者の質やシステム面も優れており、安心して相談することができます。
転職活動を始めるなら、まずは登録をおすすめしたいエージェントです。
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もう1つのおすすめが、MS-Japanです。
MS-Japanは、事業会社の管理部門への転職に強みのあるエージェントであり、知財部や法務部門の求人の取り扱いが豊富です。
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また、特許事務所の求人もあるため、企業知財部のどちらも検討している方には、MS-Japanは非常に使い勝手が良いでしょう。
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キャリア診断など有益なサービスもありますので、知財部門への転職活動を検討している方には登録をおすすめします。
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弁理士の転職におすすめのエージェントについて、詳細は下記をご参考にしてください。
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まとめ
以上、企業内弁理士の転職について解説しました。
企業内弁理士には、安定性や仕事のやりがいという点で、特許事務所よりもメリットがあります。
また、企業知財での経験はその後のキャリアで確実にプラスになります。
企業知財を狙って転職活動する際は、過去の職歴から企業知財で活かせるスキルをアピールすることが重要です。
また、企業知財の転職におすすめのエージェントとして、リクルートエージェントとMS-Japanを紹介しました。
自身の希望や職歴にマッチした求人を見つけるにはエージェントに相談するのが一番ですので、まずは登録してみることをおすすめします。
なお、弁理士の転職におすすめのエージェントについて、より詳細に知りたい方は下記の記事をご参考にしてください。
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