企業の法務部門は、法的観点からアドバイスを行う専門性の高い部門です。
専門性が高いが故に、転職によって企業の法務部を渡り歩く人も少なくありません。
また、近年では、弁護士資格の保有者や司法試験の合格者が法務部に入るケースが増えています。
一般的に、法務部への転職は難しいと言われており、法的なバックグラウンドはもちろん、企業の採用ニーズに合った求職者でなければなかなか採用されません。
では、法務部に就職・転職する際にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか?
この記事では、法務部への転職が難しい理由や転職を成功させるためのポイントについて解説します。
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Contents
法務部への転職が難しい理由
まず、法務部への転職が難しいと言われる理由について解説します。
様々な企業で法務部門の求人はあり、企業未経験であっても、法学部卒業生やロースクール修了生には転職のチャンスがあります。
しかし、場合によっては法務部へ転職が難しいケースがあります。
法務部への転職が難しい理由としては以下が挙げられます。
法務部の転職が難しい理由
- 人気企業が多く、倍率が高い
- 企業によって採用ニーズが異なる
- コミュニケーション能力が重視される
人気企業が多く、倍率が高い
まず、1つ目の理由としては、法務部がある企業は人気が高い企業が多く、倍率が高くなる、というものです。
基本的に、組織として法務部がある会社は、プライム市場上場企業などの大企業になります。
そういった企業は知名度が高く、法務部の求人があると転職希望者が殺到することになります。
一方で、法務部の人員は、開発部門などと比べて絶対数が少なく、採用人数もそれほど多くありません。
せいぜい1社あたり1, 2人の募集に留まります。
このように、採用枠に対して求職者の応募倍率が高くなることが、法務部への転職が難しいと言われる一因です。
企業によって採用ニーズが異なる
同じ法務部の求人であっても、企業によって採用ニーズが異なります。
従って、いくら法務の実務経験が豊富であっても、企業側の採用ニーズに合わなければ不採用となります。
企業側の採用ニーズとしては、具体的には、
- 年齢
- 経験のある法域
- 経験のある業界
などがあります。
特に、候補者の年齢や経験年数は大きな要素です。
仮に、企業が経験の浅い若手を求めていれば、実務経験豊富な40代の候補者であっても採用されない可能性が高いです。
一方で、企業側がマネージャークラスの人材を求めていれば、逆も然りでしょう。
また、企業によって、どの分野の法律知識や業界知識が必要であるかは大きく異なります。
そのため、同じ法務部間の転職でも、ミスマッチで難しいというケースは多々あります。
例えば、長年ビジネスの契約をやってきた人が、企業ガバナンス法務の仕事に転職する場合などです。
以上のように、実務経験が豊富な候補者であっても、採用ニーズに合わなければ不採用となってしまう点が、法務部への転職が難しいと言われる一因です。
コミュニケーション能力が重視される
企業の法務部門では、法律知識だけでなく、コミュニケーション能力が重視されます。
法務部では、会社内の状況を勘案しつつ、より踏み込んだアドバイスをすることが求められます。
時には、事業部門に対して、法律上のリスクから、事業の方向性を変えたり、事業を止めるようなアドバイスをしなければならないときもあり、高度な調整力が要求されます。
また、一般的に、ヒラの法務部員であっても、事業部門の課長や部長クラスの人と対等に議論をかわさなければならない場面も度々あります。
このように、法務部門の業務上、カウンターパートとなる事業部と円滑に業務を進めるためのコミュニケーション能力が重視されるのです。
そのため、法律事務所出身の弁護士であっても、上記のようなコミュニケーションができないと判断されると、不採用となってしまうケースもままあります。
資格よりもむしろ、候補者の人柄が評価されることも、法務部の転職が難しいと言われる要因になります。
なお、資格なしで法務部に入れるかについては、下記の記事で詳しく解説しています。
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法務部はエリートでなければ務まらない?
このように、企業の法務部門は、そもそもが大手有名企業であることが多く、法律知識に加えて高度なコミュニケーション能力が必要となります。
企業の法務部が文系エリートが集まる部署であると言われるのも納得です。
実際に、一定以上の学歴が無いとなかなか法務部員として採用されないのが実情です。
具体的には、東大・京大などの有名国立大学、もしくは早慶、MARCHといった有名私立大学の出身者がほとんどを占めます。
また、法科大学院卒や司法試験の合格者が在籍する場合もあります。
法務部への転職を成功させるポイント
ここでは、法務部の転職を成功させるためのポイントを解説します。
企業選び
法務部への転職を成功させるためには、まず、法律業務への経験が求められます。
その上で、得意な法律領域やビジネス領域のマッチ度が判断されます。
企業に応募する際は、現職の会社と、応募先の会社とを比べ、求めらる知識・経験を自分が持っているかをチェックしましょう。
仮に、異業種の企業への転職の場合は、新たな分野での法律等の勉強をすることができるなど、柔軟性をアピールすることが有効です。
なお、企業選びにおいて、大きな要素の一つが年収です。
企業や業界によって年収水準が大きく異るため、それを企業選びの1つの観点としても良いのでしょう。
法務部の年収については以下の記事で詳しく解説しています。
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転職エージェントの活用
法務部への転職においては、法律関連の求職者のサポート経験が豊富な転職エージェントを活用することが欠かせません。
法務関連の業務は専門性が非常に高いため、特化型の転職エージェントを使うのがおすすめです。
特化型エージェントを使うメリットは、エージェント側が企業法務部の採用事情に精通しているため、求職者の経歴が評価されるような企業を厳選して紹介してくれる点です。
例えば、同じ法務部であっても、会社によって業務内容や求めれる役割は微妙に異なります。
そのため、求職者の職歴がある会社では評価される一方で、別の会社ではあまり評価されないということも起こり得ます。
法務部門への転職サポートの経験が豊富なエージェントを介することで、可能性がある企業の紹介が受けられ、就職活動がスムーズに進みます。
法務部の転職におすすめのエージェントとしては、MS-Japanが挙げられます。
MS-Japanは、法務部や弁護士の転職を専門に扱う特化型エージェントであり、企業法務部などの求人案件が豊富です。
多くの求人は非公開となっており企業名が見れませんが、無料のユーザ登録することで具体的な企業の紹介が受けられます。
キャリア診断など有益なサービスもありますので、企業の法務部で転職を検討している方には登録をおすすめします。
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志望動機
法務部への転職にあたっては、「なぜその企業の法務部なのか?」という問いに答えられるよう、志望動機をしっかり整理しておくことが重要です。
現職の会社において、法律的に困難な事象に対して、どのようなアプローチを取り、どういった点をビジネスサイドにアドバイスしたか、などの経験もアピールのポイントになります。
法務部の志望動機の考え方と文例については、以下の記事で解説しています。
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法務部の志望動機の考え方と文例
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まとめ
以上、法務部への転職が難しい理由と、成功のポイントについてでした。
要点は以下の通りです。
- 同じ法務部門でも、必要とされる法律知識やビジネスへの前提知識が大きく異なる
- 単なるアドバイザーではなく、一歩踏み込んだ法律判断を示す姿勢が求められる
- 新たな分野への柔軟性や現職での困難な経験はアピールポイントとなる
転職にあたっては、応募先の企業の求人票を読み込み、自身とのマッチ度を考慮した上で臨むことをおすすめします。
なお、企業の法務職は非常に専門性が高いため、企業法務部の転職サポート実績が豊富な転職エージェントを活用するのがおすすめです。
その中でも、MS-Japanは法務や弁護士などの専門職に特化した転職エージェントであり、この分野の実績が豊富です。
求人案件としては、企業法務部や法務事務所のいずれの求人も扱っており、幅広く転職活動をしたい方に使い勝手が良いでしょう。
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なお、法務部への転職におすすめのエージェントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
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