法律系の国会資格の最高峰に弁護士があります。
一般的に、弁護士というと法学部の出身者など文系の方が目指すイメージがあります。
では、理系出身の方が弁護士になることは可能なのでしょうか?
この記事では、理系から弁護士になるための方法について解説します。
Contents
理系から弁護士になるための方法
近年では、理系出身の方など、法学部以外の出身者が弁護士を目指すケースが増えています。
では、法学部を出ていない方が弁護士を目指す場合、どうすればよいのでしょうか?
法学部以外の出身者が弁護士資格を得るまで
弁護士になるためには、以下の3つのステップが必要となります。
弁護士になるには
- 司法試験の受験資格を得る
- 司法試験を受験して合格する
- 1年間の司法修習を経る
まず、司法試験は誰でも受験できるわけではなく、司法試験の受験資格を得る必要があります。
司法試験の受験資格を得るためには、以下の2つの方法があります。
- 法科大学院を修了する
- 予備試験に合格する
法科大学院は修了までに最低2年(法学未修習の場合は3年)と、かなりの時間がかかります。
一方で、予備試験は合格率が例年3%台とかなり難易度の高い試験です。
このように、そもそも司法試験の受験資格を得ること自体が大変です。
司法試験の最終合格率は、年によって異なりますが、30〜40%程度です。
ただし、どの方法で受験資格を得たかによって、合格率が大きく異なることに注意が必要です。
やはり、難関である予備試験ルートの出身者は、司法試験でも80%前後の合格率を誇ります。
一方、法科大学院修了で受験資格を得た場合は、予備試験ルートの出身者よりも合格率が落ち、40%程度です。
また、出身の大学院によってかなり合格率が異なることを覚えておきましょう。
法学部以外だとハードルがある
理系学部出身の方など、法学部部を出ていない場合でも、基本的には弁護士になるまでの流れは上記と同様です。
しかしながら、法学部を出ていない場合は、以下のようなハードルがあります。
法律の前提知識がほぼ無い
まず、法律の基礎知識がほぼゼロの状態からのスタートとなります。
法学部の出身者であれば、大学の授業で民法や刑法などの法律の基礎を学習しているため、ある程度知識を持った状態でスタートできます。
一方で、理系出身の方は、それまでに法律の勉強をした経験は皆無でしょう。
そのため、弁護士を目指すとなると、まったくの0から法律の勉強を始めなければなりません。
受験資格を得るまでに長期間かかる
また、理系出身者の場合、受験資格を得るまでに長期間かかります。
理系出身者が法科大学院に行く場合は、法学未修習という扱いになり、通常2年の期間が3年に延長されます。
法学部出資の方に比べて、1年余分に法科大学院に通う必要があります。
また、基本的に、理系出身で弁護士を目指す方の多くが社会人です。
その場合、昼間の仕事があるため、仕事を続ける限りは法科大学院に入ることはほぼ不可能となります。
(一部、社会人に対応した夜間の法科大学院がありますが、ごく少数です)
そうなると、予備試験ルートしか実質的に無いことになりますが、上述のように、これはかなり難しい試験です。
法律の前提知識が無い理系の場合は、予備試験合格までにかなりの期間がかかることを覚悟しなければなりません。
理系出身者が弁護士になるメリット
以上のように、理系出身者が弁護士を目指す場合は、かなりの覚悟が必要です。
では、理系出身者が弁護士になることができた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
理系弁護士が活躍する事例
理系出身の弁護士は、理系的な知識が活かされるようなフィールドで活躍する事例が多いです。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 特許権に関する業務(交渉、鑑定、訴訟対応等)
- スタートアップへの法的アドバイス
- 共同研究契約のアドバイス
まず、理系弁護士の主戦場となるのが特許権に関する業務です。
特許は研究開発の成果である発明を保護するための権利であり、その内容を理解するためには理系的な知識が必要となります。
特許侵害訴訟では、複雑な特許権の権利範囲を読み解いたり、イ号製品の侵害当否を判断するなど、理系弁護士の活躍が期待されます。
また、近年では、AIやブロックチェーンなどの技術がブームになっており、このような技術を利用したビジネスを行うスタートアップ企業が出てきています。
その際に、技術やビジネスモデルに精通した弁護士から法的なアドバイスを得たいというニーズが生まれています。
ニーズに対して理系弁護士は圧倒的に不足している
このように、理系的な知識を必要とする業務へのニーズが拡大している一方で、理系知識のある弁護士の数は圧倒的に不足しています。
現状の弁護士のほとんどは法学部などの文系出身であり、技術的に込み入った法律相談に対応できる弁護士は稀です。
海外では、理系の学位を持った人が弁護士になることは一般的ですが、日本においては、理系出身の方が弁護士になるという発想が殆どないのが現状です。
こういった状況は、弁護士を志す理系出資の方にとってはチャンスでもあると言えます。
もちろん、弁護士資格を得るのは容易ではありませんが、将来性を考えると非常にチャレンジングであると言えるでしょう。
まとめ
以上、理系出身者が弁護士になるための方法について解説しました。
理系学部出資の方であっても、弁護士になるプロセスは基本的には変わりません。
しかしながら、法律の知識がほぼ無い状態からのスタートとなりますし、司法試験の受験資格を得るまでの期間も長期化する傾向にあります。
仮に弁護士になれた暁には、理系弁護士として活躍が期待されます。
まだまだ世の中のニーズに理系弁護士の数は追いついていないので、やりがいのあるチャレンジであると言えるでしょう。
なお、法学部以外の出身の方は、働きながら予備試験ルートで弁護士を目指すことが一般的です。
このような場合、資格予備校に通学することは難しいため、通信で学習を進めることになります。
近年では、アガルートアカデミーなど、オンラインで予備試験の対策講座を提供するサービスが増えてきました。
社会人の方が弁護士を目指す場合は、こういったオンラインの対策講座を検討すると良いでしょう。
予備試験対策におすすめの講座については、下記の記事で詳しく解説しています。
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予備試験対策におすすめの通信講座|初学者向け
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